「土地ありと土地なしでどれくらい費用が違うの?」
「30坪や40坪の建築費はいくら?」
「東京・大阪・福岡など地域別の価格差は?」
注文住宅を検討している方はこのような疑問を抱えていませんか?
本記事では、2025年最新の注文住宅相場を紹介し、土地の有無や坪数別・地域別の価格も紹介します。予算計画の立て方や、費用を安く抑えられるコツについても解説します。
最後まで読むことで、予算内で理想の家を建てるための具体的な資金計画が立てられるでしょう。
注文住宅の費用内訳
注文住宅を建てる際にかかる総費用の内訳は以下のとおりです。
- 建物本体の工事費用
- 土地取得にかかる費用
- 諸費用
それぞれの相場について解説します。
建物本体の工事費用相場は4,034万円
建物本体工事費には、基礎や構造、外壁・内装、住宅設備などの価格が含まれ、注文住宅の総費用の約7〜8割を占める大きな項目です。
国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、全国平均の建物工事費は4,034万円で、構造別の坪単価は以下の通りです。
構造 | 坪単価の目安 |
---|---|
木造 | 約79万円 |
鉄骨造 | 約103万円 |
RC造 | 約111万円 |
たとえば、30坪の木造住宅の建物本体工事費は、約2,370万円前後です。
なお、ハウスメーカーによって坪単価に含まれる範囲は異なるため、見積もりの内訳を確認することが重要です。仕様や設備のグレードによって費用も変動するため、希望と予算のバランスを見ながら検討しましょう。
土地取得にかかる費用相場は1,929万円
土地取得費は、建築費に次いで大きな割合を占める費用で、地域によって大きな差があります。
たとえば、国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、全国平均の土地購入費は1,929万円で、三大都市の平均は2,813万円と地域差があることがわかります。
また、土地代だけでなく、仲介手数料や登記費用、不動産取得税、地盤改良費などの関連費用も発生することも頭に入れておきましょう。土地の価格だけで判断せず、付随費用も含めた総額で資金計画を立てることが大切です。
諸費用相場は総額の10~12%が目安
諸費用は、土地と建物を合わせた総額の10~12%が目安です。たとえば総額4,500万円の注文住宅なら、約450万~540万円の諸費用がかかるイメージです。
住宅ローンの事務手数料や保証料、火災保険、登記費用など、現金での支払いが必要な項目も多いため、自己資金として準備しておくとよいでしょう。また、不動産取得税は引っ越し後に請求が届くこともあるため、忘れずに資金計画へ組み込むことも大切です。
費用の内訳や金額は会社や金融機関によって異なるので、事前確認が大切です。
【土地の有無別】注文住宅の費用相場
土地の有無によって注文住宅の費用相場は大きく異なります。土地あり・土地なしの場合の建築費相場について紹介します。
土地ありの場合の相場は約4,034万円
すでに土地を所有している場合、注文住宅の全国平均建築費は約4,034万円です。土地代が不要な分、断熱性や耐震性など、建物の性能や設備に予算を充てやすいのが大きなメリットです。
一方で建て替えの場合は、建物の解体費や広めの延床面積がかかるため、平均費用は約5,745万円とやや高めになります。
土地をすでに持っていることで、間取りや広さの自由度が高まり、理想の住まいを実現しやすくなります。
土地なしの場合の相場は約5,811万円
土地を購入して注文住宅を建てる場合、全国平均の総費用は約5,811万円です。土地代は約1,929万円で、全体の3割ほどを占めます。
土地の購入費用は地域によって大きな差があり、首都圏では土地だけで約2,813万円、建物と合わせた価格は6,989万円となっています。
選ぶ土地の形状や地盤の状態によっては地盤改良費なども追加でかかるため、建築に適した場所かどうかを見極めることが大切です。
予算と暮らしやすさのバランスを考えて、じっくり検討しましょう。
【坪数別】注文住宅の費用相場
坪数別の注文住宅の費用相場は以下のとおりです。
坪数 | 費用相場 |
---|---|
30坪 | 約2,520万円 |
40坪 | 約3,360万円 |
平屋30坪 | 約2,760万円〜3,000万円 |
なお、厚生労働省の「建築着工統計調査」によると、注文住宅の平均坪単価は約84万円です。平均坪単価をもとに坪数別の費用相場を詳しく紹介します。
30坪の費用相場は約2,520万円
30坪の注文住宅は、3~4人家族にちょうど良い広さで、建築費の全国平均は約2,520万円となります。間取りは3LDK〜4LDKが一般的で、家族それぞれの個室と、くつろげるLDK空間を確保しやすいのが特徴です。
ハウスメーカーの標準プランも豊富に用意されているため、コストパフォーマンスの良い家づくりがしやすい坪数といえるでしょう。希望の間取りや仕様と予算のバランスを見ながら、プランを比較検討することが大切です。
40坪の費用相場は約3,360万円
40坪の注文住宅を建てる場合、建築費の全国平均は約3,360万円とされています。30坪に比べて約1,000万円高くなりますが、その分、4LDK以上の間取りや広めの主寝室、書斎、大容量の収納スペースなど、より自由度の高い住まいが実現可能です。
また、吹き抜けのリビングやインナーガレージなど、30坪では難しい空間設計も可能になります。ただし、建物が大きくなることで、建築費だけでなく光熱費や固定資産税といったランニングコストも上がる傾向にあります。
そのため、広さの魅力だけでなく、将来のライフスタイルも見据えて、無理のない予算と必要な広さのバランスを見極めることが大切です。
平屋30坪
平屋30坪の注文住宅では、建築費の相場は約2,760万円〜3,000万円です。同じ広さの2階建てと比べると、基礎や屋根が広くなる分、1〜2割ほど高くなる傾向があります。
坪単価はおよそ92万円〜100万円で、3LDKの間取りが一般的です。すべての部屋がワンフロアにまとまっているため、移動がしやすく、家族の距離も自然と近くなります。人気のプランには、南向きの配置や中庭付きのコの字型、回遊動線のあるLDKなどがあります。
ただし、建物の面積分の土地が必要になるため、都市部では土地取得のハードルが高い点にも注意が必要です。平屋は将来の暮らしやすさを重視する方にとくにおすすめですが、土地代とのバランスを考えて検討しましょう。
【価格別】建てられる注文住宅の特徴
価格別にどのような注文住宅が建てられるのか紹介します。
- 1000万円台
- 2000万円台
- 3000万円台
- 4000万円台
予算と希望の間取りや設備とのバランスを見る際の参考にしてみてください。
1000万円台
1000万円台の注文住宅では、15〜30坪ほどのコンパクトでシンプルな住まいを建てられます。主にローコスト住宅メーカーが対応しており、坪単価は40万〜60万円が目安です。
建物は凹凸の少ない箱型で、屋根もコストを抑えた片流れや切妻屋根が選ばれることが多くなります。外壁にはサイディング、内装にはビニールクロスなど、標準的な素材が使われ、設備も基本グレードが中心です。
間取りは規格化されたプランから選ぶ形が多く、自由度はやや限られますが、その分コストを抑えやすいのが魅力です。
2000万円台
2000万円台の注文住宅なら、30~35坪ほどのゆとりあるマイホームを建てられます。1000万円台に比べて選べる幅が広がり、こだわりたい部分に少しずつグレードアップを加えるなど、理想の暮らしに近づけやすいのが魅力です。
たとえば、水まわりを使いやすい設備にしたり、断熱性能を高めて快適さをアップさせたりと、日々の暮らしにつながる部分に工夫を加えられます。
間取りは3LDK〜4LDKが一般的です。ただし、こだわりすぎると予算オーバーの可能性もあるため、希望に優先順位をつけて検討することが大切です。
3000万円台
3000万円台の注文住宅は、全国平均に近い価格帯で、35~40坪のゆとりあるマイホームが叶います。大手ハウスメーカーの標準プランにも手が届きやすく、住宅性能やデザインの選択肢が広がるのが特徴です。
断熱性や気密性に優れたZEH対応住宅や、地震に強い耐震等級3の家もこの価格帯で実現可能です。外壁にタイルや漆喰を取り入れたり、内装に無垢材を使ったりと、素材にもこだわれるでしょう。
4LDKの間取りが主流で、床暖房や全館空調などの快適設備も導入しやすくなります。選択肢が増える分、将来の暮らしを見据えた計画を立てることが大切です。
4000万円台
4000万円台の注文住宅では、40坪以上の広さと高品質な設備・素材を取り入れた、こだわりのあるマイホームを建てられます。大手ハウスメーカーの上位グレード商品や、建築家によるデザイン住宅も視野に入るでしょう。
たとえば、全館空調や海外製の高性能設備、国産無垢材や天然石などを使った上質な空間づくりも可能です。また、二世帯住宅や中庭のある設計、スキップフロアなど、間取りの自由度も大きく広がります。
すでに土地を所有している方であれば、よりこだわった家づくりができる価格帯です。長く快適に暮らすためにも、見た目や設備だけでなく、住み心地や将来の価値も大切に検討しましょう。
【主要都市別】注文住宅の費用相場
主要都市別の注文住宅の費用相場を以下の表にまとめました。
主要都市 | 費用相場(土地・建物合計) | 建物費用 | 土地費用 |
---|---|---|---|
東京都 | 約7,120万円 | 約3,295万円 | 約3,825万円 |
大阪府 | 約5,525万円 | 約3,308万円 | 約2,217万円 |
福岡県 | 約4,780万円 | 約3,550万円 | 約1,230万円 |
神奈川県 | 約5,800万円 | 約3,310万円 | 約2,490万円 |
参考:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
住んでいる場所で注文住宅を建てる際にいくらぐらいかかるのかの参考にしてみてください。
なお、各都道府県の費用相場は、住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」を参考にしています。
東京23区の費用相場は約7,120万円
東京23区で注文住宅を建てる場合、土地代込みで約7,120万円が平均となっており、とくに人気の高い住宅地では1億円を超えるケースもあります。
たとえば世田谷区や杉並区では坪単価が200~300万円、港区や渋谷区などの都心部では500万円以上となることもあります。30坪の土地を取得するだけで6,000万円以上かかることもあり、建築費を含めると総額は高額になりがちです。
なお、東京都の平均建築費は約3,295万円で、全国平均よりも大きく上回っています。東京都で注文住宅を建てる際には、立地条件の優先順位を整理し、3階建てや狭小住宅といった設計も視野に入れた現実的な資金計画を立てることが大切です。
大阪府の費用相場は約5,525万円
大阪府で注文住宅を建てる場合、土地と建物を合わせた平均費用は約5,525万円です。このうち建物費用は約3,308万円、土地費用は約2,217万円が目安とされています。
大阪市中心部の住宅地では坪単価が120万円以上と高めですが、北摂エリア(吹田市・豊中市など)では約100万円、堺市や東大阪市などでは70万円程度が相場です。
土地30坪の場合、土地代だけで約1,800万~4,500万円が必要になるケースもあり、建物費用と合わせると総額は5,300万~8,500万円程度が想定されます。大阪府で注文住宅を建てる際には、通勤や資産価値の観点から、エリア選びは慎重に進めることが大切です。
福岡県の費用相場は約4,780万円
福岡県で注文住宅を建てる場合、土地と建物を合わせた平均費用は約4,780万円です。このうち建物費用は約3,550万円、土地費用は約1,230万円が目安となります。
福岡市の中心部(天神・博多周辺)では坪単価100万円前後、糸島市や春日市などの郊外では20万~50万円ほどが一般的です。30坪の土地を想定すると、土地代は600万~2,400万円、建物費用とあわせて総額3,800万~6,000万円程度になることもあります。
福岡県は首都圏や近畿圏に比べて土地代が抑えられており、その分を設備のグレードアップや住宅性能の向上に充てやすい点が魅力です。また、交通利便性や暮らしやすさを兼ね備えたエリアとして、移住先としても注目されています。
関連記事:福岡で家を建てる際の相場はいくら?注文住宅に必要な価格・坪単価・費用・世帯年収
神奈川県の費用相場は約5,800万円
神奈川県で注文住宅を建てる場合、土地代と建物を含めた総費用の平均は約5,800万円です。内訳としては建設費が約3,310万円、土地取得費が約2,490万円となっています。
横浜市内では坪単価110万~200万円、川崎市は120万~240万円が目安で、相模原市や厚木市など郊外では40万~80万円程度と幅があります。30坪の土地を想定すると、土地代は約1,200万~3,900万円、建物費用を含めた総額は約4,700万~7,900万円程度が目安です。
自然環境と都市機能が共存する神奈川県は、子育てや通勤の利便性を重視する家庭にとって、魅力的な住環境といえるでしょう。
注文住宅の予算計画の立て方
注文住宅の予算計画を立てる際には以下のポイントで考えましょう。
- 年収から住宅ローンの金額を決める
- 部屋数・床面積を決める
- 建てるエリアを決める
それぞれどのように決めていくのか解説します。
年収から住宅ローンの金額を決める
住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍以内、毎月の返済額は手取り月収の20〜25%以内に収めるのが、安心して返済を続けるための目安です。
金融機関では返済負担率が30〜35%まででも審査に通ることがありますが、教育費や老後の備え、収入の変化などを考えると、余裕を持った借入額にしておくことが大切です。
以下の表に年収ごとの住宅ローンの目安をまとめました。
年収 | 借入額の目安 | 月々の返済額の目安 |
---|---|---|
400万円 | 2,000万円〜2,800万円 | 6.7万円〜8.3万円 |
500万円 | 2,500万円〜3,500万円 | 8.3万円〜10.4万円 |
600万円 | 3,000万円〜4,200万円 | 10万円〜12.5万円 |
住宅ローンの返済額だけでなく、車のローンやカードローンなどの返済も含めて負担を確認し、将来も見据えた計画を立てることが大切です。
部屋数・床面積を決める
部屋数や床面積を決めるときは、家族構成やライフスタイルをふまえ、今だけでなく将来の変化も見据えた計画が大切です。
全国の延床面積の平均は119.5㎡(約36.1坪)ですが、夫婦だけなら20〜25坪、3人家族なら25〜30坪、4人家族なら30〜35坪がひとつの目安となるでしょう。ただし、在宅勤務の有無や趣味スペースの希望、来客の頻度など、暮らし方によって必要な広さは変わります。
また、子どもの成長後の部屋の活用や親との同居の可能性も考えておくと安心です。床面積は広いほど建築費が高くなるため、無理のない広さを選ぶことがポイントです。
建てるエリアを決める
建築エリアを選ぶときは、土地価格と暮らしやすさのバランスをしっかり考えることが大切です。予算のうち、土地代は3〜4割を目安にすると無理のない予算計画になります。
たとえば総予算5,000万円の場合、首都圏では土地に2,100万円、建物に2,900万円、地方では土地に1,100万円、建物に3,900万円といった配分が現実的です。
通勤時間の許容範囲を広げると、郊外も選択肢に入るため土地代が抑えられるケースもあります。また、将来的な資産価値を考えるなら、今後人口が減りにくいエリアや交通アクセス・買い物環境の整った地域を選ぶのがおすすめです。
子育て世帯であれば学区の質、高齢期を見据えるなら医療体制の充実度など、自分たちのライフスタイルに合った基準で、エリアを比較検討しましょう。
注文住宅の費用を安く抑えるコツ
注文住宅の費用を抑えるには、以下のポイントを意識してマイホーム計画を行いましょう。
- 間取りをシンプルにする
- オプションや設備のグレードを見直す
それぞれのコツについて解説します。
間取りをシンプルにする
建物の形をシンプルな箱型にすると、建築コストを抑えやすくなります。外壁や屋根に凹凸が多いと、材料費や工事費がかさむためです。
とくにコスト効率が良いのは、1階と2階の広さがほぼ同じ「総2階」の住宅で、基礎や屋根の面積もコンパクトにまとまります。また、屋根の形は片流れや切妻などのシンプルなタイプを選ぶことで、コストを抑えることが可能です。
間取りも、部屋数をしぼって壁やドアを少なくすることで、建材費の節約につながります。たとえば、リビングの一角にワークスペースをつくるなどの工夫で、快適さはそのままにコストダウンが目指せます。
シンプルな設計にする際は、家族の暮らしやすさとのバランスも意識することが大切です。
オプションや設備のグレードを見直す
コストを抑えて家づくりを進めたいときは、ハウスメーカーの標準仕様を上手に活用するのがおすすめです。
標準仕様は大量仕入れで価格が抑えられているため、無理にオプションをつけるよりもコスパが良いことが多いです。
たとえばキッチンや浴室は、標準でも使いやすく、十分な機能を備えているケースがほとんどでしょう。外壁をタイルからサイディングに変更したり、無垢材の床を複合フローリングにしたりすることで、100万円以上のコストダウンにつながることもあります。
どこにこだわるか、どこでコストを抑えるか、優先順位を決めておくと予算内で満足のいく住まいが実現しやすくなります。
まとめ
注文住宅の費用は「土地を持っているかどうか」で大きく変わります。土地ありの場合は建物費用が中心で平均約4,034万円、土地なしなら土地代込みで約5,811万円が全国の目安です。
建物の大きさ別では、30坪の全国平均は約2,520万円、40坪では約3,360万円程度が相場となります。地域によっても差があり、東京23区では7,000万円〜1億円を超えるケースもありますが、地方では4,000万円〜5,000万円台で建てられることもあります。
希望と予算のバランスをとることが、満足度の高い家づくりへつながるでしょう。